書評

すべてのブロガーに捧ぐ、読むドーピング! 「読みたいことを、書けばいい。」(田中泰延 ダイヤモンド社)  

先日、この「知ったかブリタニカ」というブログの方向性に悩んでいたぼくは、フラフラと立ち寄った書店でこの本が平積みになっているのを発見。

パラパラめくってみると、もともとは電通のコーピーライターだったという著者の言葉の節々に、なにかピンとくるものがあったので即購入を決意。

カップ麺

その後、ディナーのスケジュールをリスケして、一気呵成に本書を読みきった。

マジオ
マジオ
単に夕飯の準備を後回しにしただけともいう。どうせボッチ飯だし。

さて、この「読みたいことを、書けばいい」であるが……

本書の内容については、残念ながら書かれていることの98%は無駄な文章である。意味があるのは全体の2%ぐらいなものなので、どうせなら大事なとこだけ書いて、98%引きの30円で売ってほしかった。

ちなみに98%が無駄な文章というのは、ぼくの主観ではない。

著者本人が云ってるのですよ。

コピーライターはとにかく短い文章で相手に伝えることを考える。しかし、それで1冊の本を書こうとすると、非常に薄く、文字が少なく、白い部分の目立つ本になってしまう。

なので今回は、全体のわずか98%程度に無駄な文章を散りばめることによって、なんとか1500円で発売することに成功した。

「読みたいことを、書けばいい。」P.73より

書いたブログが検索で上位に食い込むためには、文字数は多い方がいいというという話を聞いたことはないだろうか。

確かに、記事の中身を濃くしようとすると、いきおい文字数も多くなる。

しかし、本書の著者、田中泰延氏はこうぶった斬る。しかも、序章で。

文字数が多い本は、それだけで読みたくなくなることはよく知られている。

大切なことは文字が少ないことである。

「読みたいことを、書けばいい。」P.15より

これは、わりかし長文の記事が多いぼくにとって耳の痛い話であった。

マジオ
マジオ
まてよ、聞いたんじゃなくて読んだだけだから、耳は痛くならないのか。

でも著者の主張は正しい。とくに、Webコンテンツであるブログならなおさらだ。我々がWebでなにかを検索する動機は、

  • 知りたいことの答えがほしい
  • 有益な情報がほしい

の2通りしかなく、その大事な情報をいかにすばやく読者に伝えるかがブログの肝である。

マジオ
マジオ
と、先輩方がよくTwitterでつぶやいてました。

よく、ブログでは「結論を先に書け」と云われるのもそのためだ。

長い文より短い文のが好まれるのであれば、短い文のブログ記事を量産すればいいだけでなので、効率がよさそうに聞こえるかもしれない。

だが、「短い文章」=「すぐ書ける文章」なのかというと、決してそうではない。

書くという行為において最も重要なのはファクトである。ライターの仕事はまず「調べる」ことから始める。そして調べた9割を棄て、残った1割にやっと「筆者はこう思う」と書く。

つまり、ライターの考えなど全体の1%以下でよいし、その1%以下を伝えるために後の99%以上が要る

「読みたいことを、書けばいい。」P.147〜P.148より

ぼくはこの「知ったかブリタニカ」というブログサイトの記事を書くにあたって、引用元の「ブリタニカ百科事典」以外にも、Wikipediaや他の関連サイトにも目を通すし、手元の資料も調べて事実に間違いがないか確認をしながら書いている。

その工数が膨大で、記事を書いている時間より調べている時間の方がずっと長いので、このスタイルはブログを量産してPVを稼ぐのには向いてないなぁ、というのが悩みだった。


事実の裏どりは時間がかかる。

マジオ
マジオ
どうしようか、もっとライトな方向に路線変更するべきなのか……って悩んでいたんだ。

しかし、この本を読んで、ぼくは自分のとっていたスタイルが間違ってなかったと確信することができた。

ファクトは絶対なのだ。事実に基づかない意見など、なんの意味もない。

そして、ファクトに基づいて物事を考察した結果、「自分はそう感じた、そう思った」という部分もまた、真実でなくてはならない。

マジオ
マジオ
他人の意見をパクって自分の言葉のように語っちゃダメよってことっす。

わたしが言いたいことを書いている人がいない。じゃあ、自分が書くしかない

「読みたいことを、書けばいい。」P.102〜P.103より

筆者は本書のなかで、まさにそのタイトルの通り、自分が読みたいことを書けと繰り返し主張している。

もしも、自分が読みたいことが、すでに他の人によって書かれているのであれば、書き手にならず読み手になればいいのだと筆者は述べる。

もう一度、本書のタイトルに立ち返ろう。

「読みたいことを、書けばいい。」

「書きたいことを、書けばいい」ではない。

これは似ているようでまったく違うことだ。

居酒屋なんかではみんな大抵、自分が話したいことを話しているのだろうが、自分が話した内容を文章化してみると、おそらくは自分でそれを読みたいなんて思えるような内容ではないはずだ。

なぜならそれは自分が「話したいことを、話している」からであり、「(自分が)聞きたいことを、話している」わけではないからである。

文章でも同じだ。書きたいこと(アウトプットしたいこと)と、読みたいこと(インプットしたいこと)はまったく違う。

筆者は、自分がインプットしたいと思うことをアウトプットせよ、と述べているのだ。自分がこの世にあってほしいと心から願うものを、自分で創り出せと言っているのだ。


求めるものがまだ存在ないから自分で創る

ブログを書くとき、とりわけマネタイズを意識すると、どうすれば想定するペルソナ、つまり他人に読んでもらえるかという点に意識を向けがちである。

それはテクニックとしては正論なのだ。

しかし、おもしろい文章を書く動機としては不純だ。

  • ライターになりたい
  • 自分の思いを届けたい
  • バズる記事を書く方法を知りたい
  • 上手な文章の作法を身につけたい
  • 書くことで生計を立てたい

上にあげたような動機でライティングを学んで文章を書いても、「結局、人に読んでもらえない文章ができ上がってしまう。」と著者は主張している。(同書 P.33〜P.34より)

読み手など想定して書かなくていい。その文章を最初に読むのは、間違いなく自分だ。自分で読んでおもしろくなければ、書くこと自体が無駄になる。

「読みたいことを、書けばいい。」P.99より

ずいぶん乱暴な意見のように響くかもしれないが、ぼくは極めて正論だと思う。

筆者は本書を通して終始、自分が書いたものを自分で読んで楽しい気分になれる文章を作ることの重要性を説いている。

もし、あなたがいま、PVが稼げないとか、なかなかマネタイズできないといった理由で、ブログを書き続けるモチベーションを失いつつあるのなら、ぜひこの本を手に取ってみることをお勧めする。

マジオ
マジオ
自分という一番の読者が楽しめる文章を心がけると、結果的に他の人にとってもおもしろい文章となる可能性が高くなるんだね。ちなみにぼくは、この記事をノリノリの気分で書いた。

マジオ
マジオ
ちなみに、この本のタイトルはもともと、別のタイトルになるはずだったが、下記のような理由でこのタイトルに変更された模様……

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