三大洋という言葉があるくらいだから、大きくわけると世界の大洋は太平洋、大西洋、インド洋の3つではないかと思っていた。しかしブリタニカ百科事典は、第四の大洋かつ最小の大洋として北極海の名ををあげている。あれ、じゃあ南極海は大洋のうちにカウントされないってこと? そもそも北極海ってあまり存在感がないように思えるが……
その謎に迫るべく、今日も辞書を引き引きブリタニカ百科事典を読み進める。
この記事はEncyclopedia Britannica(ブリタニカ百科事典)の記事Arctic Ocean (Definition, Location, Map, Climate, & Factsからの引用を元に、独自研究を加えて自分なりの見解をまとめたものです。
目次
北極海とは
Arctic Ocean, smallest of the world’s oceans, centring approximately on the North Pole.
– ENCYCLOPEDIA BRITANNICA #Arctic Ocean
arctic 北極の approximately ほぼ
北極海は大洋の中では最小なのか……地球儀なんかでもあんまりよく見えない場所だから、いまひとつピンとこないけど、確かに大きくはないだろう。
でも、大洋と普通の海ってどこで線引きしているんだ。大陸と島ってどう違うのみたいな話だけど、あれはもう、オーストラリア(最小の大陸)とグリーンランド(最大の島)で単に線引きをしているだけと聞いたことがあるが……
北極海の大きさ
Although the Arctic Ocean is by far the smallest of the Earth’s oceans, having only a little more than one-sixth the area of the next largest, the Indian Ocean, its area of 5,440,000 square miles (14,090,000 square km) is five times larger than that of the largest sea, the Mediterranean. The deepest sounding obtained in Arctic waters is 18,050 feet (5,502 metres), but the average depth is only 3,240 feet (987 metres).
by far はるかに square 平方 Mediterranean 地中海 sounding 水深、(鉛測線による)水深測量 obtain 獲得する
ん? “the next largest, the Indian Ocean“とな。インド洋って、太平洋、大西洋に続く世界第三の大洋だよね。
“the smallest”でかつ”the next largest, the Indian Ocean“ということは、ブリタニカ的にはOceanって三大洋に北極海を加えた4つということか。
確かに北極海と違い、南極海は独立した大洋というよりは、三大洋の南端部分をまとめた総称のように思えるが、すると、いわゆる「7つの海」ってどことどこのことなのだろう!?
それにしても地中海って、大洋以外の普通の海の中では最大だったのか……そして、地中海は北極海の5分の1。地中海、意外と大きいな。
そういえば中学生の頃、Mediterraneanが地中海だって説明を受けても、なかなかピンとこなかった。だって、海なのにSea of Japanみたいにseaがついてないんだもん。
“The deepest sounding obtained in Arctic waters”の部分はずいぶん訳が難しいな……
測鉛線ってのは、先っちょに鉛の重りがついた、水深を測る道具のことだよな……。
どうもこのsoundingのニュアンスがよくわからないので、詳しく辞書を調べてみると、どうやらそもそもsoundという動詞には調査するという意味合いがあるようだ。
ああなるほどわかった、「なんでも鑑定団」に出てくる中島誠之助がいつもやってるあれだ、コンコンって。だから”sound”=「調査する」なんだよ、きっと。
北極海と地球球形説の関係
Distinguished by several unique features, including a cover of perennial ice and almost complete encirclement by the landmasses of North America, Eurasia, and Greenland, the north polar region has been a subject of speculation since the earliest concepts of a spherical Earth.
distinguish 区分となる feature 特徴 perennial 四季を通して続く encirclement 包囲 landmass 広大な土地、大陸 north polar region 北極圏 subject 主題 speculation 推察、考察 spherical 球形の
地球球体説と北極圏の関係ってのはさ、つまり実際にずっと北に進み続けてみれば、世界の北の果てにたどり着く(地球平面説が正しい)のか、あるいはぐるっと回って地球の裏側に行ける(地球球体説が正しい)のか確かめられるので、北極圏はとても学問的に興味深い地域ではあったが、いかんせん自然環境が厳しすぎて、なかなか近づけなかったんだ、ということだ。
古代ギリシア人の北極圏に対する考察
From astronomical observations, the Greeks theorized that north of the Arctic Circle there must be a midnight sun at midsummer and continual darkness at midwinter.
astronomical 天文学的な observations 観察 theorize 理論を立てる midnight sun 白夜 continual 継続的な
“there must be“とあるから、古代ギリシア人はそれを見てきたというわけではないが、天体観測の結果、北極圏では白夜と極夜という現象が起こるに違いないという仮説を立てていたというわけだ。
Google Earthであらためて北極海を眺めてみると、北極海を挟んで北米大陸の北岸とユーラシア大陸の北岸がわりと近い距離で向かいあっていることがわかる。
よく映画なんかで、潜水艦が北極海の氷塊を突き破って浮上するシーンをよく見かけるが、こうやってじっくり地図を眺めていると、その背景が見えてくる。
そうやって政治的な背景も考えながら、北極海中心の地図を見ていると、どうしても気になるのがアラスカだ。アメリカに売らなければロシアはベーリング海峡を抑えることができたのに……きっとロシアは心底後悔してるんだろうなと、ぼくは思う。